アサリやハマグリは砂の中でじっとしていますが、ほたては自分の力で泳ぐ、二枚貝のなかでもとても珍しい貝です。貝殻をパクパクと開閉して、ピョンピョンと水中を移動します。今回は、そのユニークな泳ぎのしくみを、陸奥湾のほたて屋がご紹介します。
ほたては「水鉄砲」で進む
ほたての泳ぎは、いわばジェット推進です。貝殻を勢いよく閉じると、貝のすき間から水が勢いよく噴き出します。その反動で、噴き出した方向とは逆へと体が跳ねるように進むのです。
ロケットがガスを後ろに噴いて前進するのと、原理はよく似ています。ほたては水を噴き出す向きを少し変えることで、進む方向もある程度コントロールできます。
泳ぎを支える大きな貝柱
この力強い開閉を生み出すのが、私たちが「貝柱」として食べている閉殻筋(へいかくきん)です。
| 部位 | はたらき |
|---|---|
| 貝柱(閉殻筋) | 貝殻を素早く・力強く閉じる |
| ひも(外套膜) | 水の流れや明暗を感じる |
| 眼(外套膜のふち) | 動く影などを感じ取る |
ほたての貝柱が大きくて発達しているのは、この「泳ぐ」という運動のためでもあります。よく動かす筋肉だからこそ、あの厚みと旨味が生まれるのです。
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なぜ泳ぐ必要があるの?
じっとしている貝が多いなかで、ほたてが泳ぐのにはいくつかの理由が考えられています。
- 天敵から逃げる:ヒトデなどに襲われそうになると、ピョンと跳ねて距離をとります。
- 環境の良い場所へ移動する:水質やエサの状況に応じて、居心地のよい場所を探します。
とはいえ、長い距離をスイスイ泳ぎ続けるわけではなく、危険を感じたときなどに短く跳ねるイメージです。
旨味と運動はつながっている
「貝柱が大きい=よく動く筋肉」という関係は、ほたての味わいにも直結します。陸奥湾のように潮の流れがあり、ほたてがしっかり育つ環境では、貝柱に旨味がぎゅっと詰まります。食べるときに、この小さな貝の生きる力に思いを馳せると、また違ったおいしさを感じられるかもしれません。
まとめ
ほたては、貝殻の開閉によるジェット推進で泳ぐユニークな二枚貝。その運動を支える大きな貝柱こそ、私たちが味わう旨味の正体でもあります。次にほたてを食べるときは、海を跳ねる姿を少し想像してみてください。



