海水温が上がるとほたてはどうなるのか。 陸奥湾でほたてを育てている私たちにとって、これは毎年いちばん気をつけているテーマです。
結論:ほたては冷たい海の貝。暑さにはとても弱い
ほたては、もともと寒い海に住む貝です。あたたかい海では育ちません。 だから海水温が高い状態が続くと、ほたてには次のようなことが起こります。
| 起きること | どうなるか |
|---|---|
| 体力を消耗する | 呼吸や代謝に使うエネルギーが増え、身が痩せる |
| エサを取り込みにくくなる | 貝柱が太りにくくなる |
| 弱って死んでしまう | 高水温が長く続くと、へい死(大量に死ぬこと)が起きることがある |
人間でいえば「猛暑の中でずっと走り続けている」ような状態です。涼しい場所に逃げられればいいのですが、ロープに吊るして育てているほたては、自分で移動できません。
産地では何をしているのか
私たちにできるのは、ほたてを涼しい層に移してあげることです。
海の中は、上のほうと下のほうで水温が違います。夏は表層が温まりやすいので、養殖カゴを深い層まで下げることで、ほたてが過ごしやすい水温を探します。
そのために、産地では水温を細かく見ています。
- 水温をこまめに測る
- 暑くなりそうな時期は、カゴを深く下げる
- カゴの中の密度を調整して、ほたてが弱らないようにする
派手な作業ではありませんが、この積み重ねが、その年のほたての出来をほとんど決めます。
🛒 陸奥湾の蒸しほたて、ご家庭にいかがですか?
青森・陸奥湾で家族三代続く塩越商店の蒸しほたて。蒸し上げ当日に急速凍結、そのまま食卓へ。
陸奥湾がほたての産地である理由
陸奥湾は、津軽半島と下北半島にぐるりと囲まれた、閉じた形の湾です。
- 外海の荒波が入りにくい → ロープで吊るす養殖に向いている
- 山からの栄養が川を通って流れ込む → ほたてのエサになるプランクトンが豊富
- もともと水温が低い → 冷たい海を好むほたてに合う
この3つがそろっている場所は、日本でもそう多くありません。だからこそ、水温が上がることは産地にとって大きな問題なのです。
買う側が知っておくと役に立つこと
海の状況によって、ほたての大きさや量は年ごとに変わります。
「去年と同じ大きさのものが、同じ値段でいつでも買える」とは限りません。自然のものなので、良い年もあれば厳しい年もあります。
ほたてを選ぶときは、どこの海で、どう育てられたものかを見ていただけると、その一粒の背景が少し見えてくるはずです。
まとめ
- ほたては冷たい海の貝で、高い水温に弱い
- 水温が上がると身が痩せたり、へい死が起きることがある
- 産地は水温を見ながらカゴの深さを調整して対応している
- 陸奥湾は、波・栄養・水温の3条件がそろった産地


