青森県平内町のほたて王子こと塩越遼太のブログ
今日はホタテガイについてちょっとだけ深く話していきます。
今日はその第一弾**「採苗」「昼間育成」**について
ホタテガイ(赤ちゃん編)
世界に誇れる重要産業種である本邦産ホタテガイの生産地は
北海道のオホーツク海沿岸、噴火湾とその周辺、青森県の陸奥湾です
またこれらの主産地から種苗または中成貝が岩手・宮城県の三陸沿岸やさらに南の県に移植され養殖されています。
最近では岩手県でも産業的規模の種苗生産が行われています
産卵期は北方の海域ほど遅くなり、陸奥湾では3月中旬から4月、噴火湾では5月、オホーツク海に面するサロマ湖では5月から6月です。
産卵開始の臨界温度は8-9℃といわれ、水温が急上昇して臨界温度を越えた時に産卵します
産卵が誘発され、海水中に放出された卵は、そこで受精すると直ちに発生を開始し、受精後約1週間でD型幼生になります。
受精後15〜16日に殼長120μm位に達すると、殼頂が膨み始め、いわゆる殼頂幼生となり、やがて200 mm前後になると、殼頂の膨出がさらに進み、左右不相称の貝殻となって浮遊します。
さらに240μm近くに成長すると、唇弁の基部付近に直径5μmほどの眼点が出現するとともに、よく発達した足をもつようになります。
300μm前後の殻長をもつ幼生は成熟幼生あるいは変態期幼生と呼ばれ、他物に付着できるようになっています。
成熟幼生は足の基部の足糸腺から分泌される足糸で右殻を付着面にして他物に付着しますが、時々自ら足糸を切って付着基質から離れ、別の基質を求めて再び足糸を分泌して付着します。
多くの幼生は300-350pmで付着生活に入り、この段階まで受精後30〜40日を要し、浮遊期間は他の二枚貝に比べかなり長いんです。

(引用:網走庁舎HP http://www.city.abashiri.hokkaido.jp)
採苗
採苗は水槽を用いて人工的に行うことも可能でありますが、コストおよび労力の点から天然採苗がはるかに有利であり、日本のホタテガイ種苗生産のほとんどを天然採苗に依存しています。
採苗器は構造の違いによって棒網方式、棒網タマネギ袋方式、タマネギ袋方式の3種に分けられます。
これらの採苗器を海中へ垂下する時期は200μm以上の殻長をもつ浮遊幼生が50%を越えたことを目安にして決められ、陸奥湾では4月上旬から6月上旬にかけて何回かに分けて投入されますが、オホーツク海沿岸のサロマ湖では6月上旬頃に採苗予報の指示に合わせて一斉に投入します。
なお採苗器のうちで棒網方式は、近年の北洋サケ・マス流し網漁業の衰退で中古網の入手が困難になりつつあることや、付着稚貝が漁場環境の急変によって一斉に脱落するなどの欠点もありますが
種苗を大量に採取でき、ヒトデ、カニなどの食害が少ないばかりでなく潮通しがよいために比較的成長がよいという長所をもっています。
一方、タマネギ袋方式は、稚貝の脱落は防止できるが、作製に手間がかかること、ヒトデなどによる食害が多いこと、採苗後の分散に手間がかかることなどの欠点をもちます。
したがって従来、主に使われていたタマネギ袋方式は少なくなり、現在の主流は棒網方式となっています。
陸奥湾では毎年3〜4月から7月にかけて青森県が**「ホタテガイ採苗速報」**を毎週出すとともに、**NHKのテレビとラジオで「ホタテガイ採苗情報」**を放送し、漁民への情報周知に努めています
(2017/12/22現在も実施しているかは未確認)
その内容は、幼生の出現数と大きさ、水温などの海況、ヒトデ、ムラサキイガイの幼生の出現数、採苗見込みなど多岐にわたっています。
中間育成
採苗器からの稚貝の採取は、噴火湾と陸奥湾では殼長が7~10mmに達する 7〜8月に、サロマ湖では12〜15mmに成長する8月下旬〜9月上旬に行います。
採取した稚貝は**ざぶとんかご(パールネット)**に収容されますが、その数ははじめは1かご当たり100個体以下とし、稚貝の成長に合わせて目合いのより大きなかごへと分散していきます。
過密状態のままにしておくと、成長停滞や貝異常を起こしたり、場合によっては大量へい死を招くので、分散作業は中間育成過程に2〜3回行われます。
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2017年の三陸沖のホタテガイの大量死は稚貝生産地の漁師さん達が、この中間育成の時に需要が多いからといって、1かご当たりの収容枚数が基準よりもおおかったために、ほたての内部異常が発生し、ある程度成長してからの大量死につながったのではないかと考えられています。

この中間育成にはざぶとんかごのほかに丸かごも使われますがその数は少ないです。
稚貝採取直後の高水温時にはできるだけかごを深く垂下したり、稚貝に振動が伝わりにくいような構造上の配慮を育成施設に施す必要があります。
中間育成された殻長3〜5cmの稚貝は種苗として漁場に運搬されます。
その時期は産地によって異なり、噴火湾では例年3月から、冬期に結氷するサロマ湖では越冬後(採苗後1年)です。
- 運搬に先立って行われる選別作業などに用いる際の注意点です
- 常に20℃以下に抑える
- 容器に一時的に稚貝を収容する場合でも酸素不足にならないようする
- 収容密度を適正に保つ
- 換水に留意する
酸素不足になると、稚貝は落ち着きをなくし動き出すので、その時には直ちに換水するか、エアレーションを施します
ホタテガイの生息に適する塩分濃度は、一般に3.1%とされているので、大雨などの影響で塩分濃度が低下した状況下での作業は避けるべきです
このほか、分散、選別の両作業時に共通する注意点として、一度に処理する稚貝の数を労働力や作業施設規模に合わせて調整し、空中露出時間をできるだけ短縮することがあげられます。
次ページ『本養成』**について
本養成
ホタテガイの養殖方法には**「垂下式」と「地まき式」**の二種類があります。
その海域の状態、推進、底質、潮流などの状況に合わせて、その地に適した養殖方法がとられています。
①垂下式養成法
垂下式養殖法の中にも二種類あり**「耳づり式」「かご式」**に分けられます。
耳づり式ではホタテガイの耳状部(蝶番のところ)に機械もしくは手作業で穴をあけ、糸やプラスチック製のピンを使ってロープに結びつける方法です。

この方法は各産地で広く採用されています。
この方法はかご式と比較して、ある一定の海域で多量に垂下できるという特徴を持ちますが、
貝に穴をあけたり、ロープにつるす段階で手間がかかり
途中のかごの入れ替えや分散に伴う貝掃除がないため付着物が多くつくため、収穫時の付着物処理が問題となっています。
かご式については、主として使われるかごの種類が産地によって必ずしも一致しているわけではありません
たとえば陸奥湾では丸いかごが一般的に使われ、ホタテガイが一室につき一枚収容されるハウスカゴはほとんど使われていません。
しかし北海道のサロマ湖では逆なのです。
丸かごやポケットかごでは、成長につれてかごの中のホタテガイの密度を薄めて行かなければならりません
人間に例えるなら、小さな部屋に大人がたくさん住んでるとストレスを感じますよね?
それを防ぐために成長につれてかごの中の密度を薄めていく必要があるのです。
一方手間はかかるものの垂下量が制限されるため過密養殖(一定海域でたくさん養殖すると海中の栄養分が少なくなること)を防ぐことができます。
また、耳づり養殖と異なり、途中で貝掃除やかごの入れ替えを行うため、出荷時の付着物除去の手間が少なくてすみます。
耳づり式やかご式養殖どちらにしても、ホタテガイは延縄式養殖施設に垂下されます。
以前まで使われていた筏式養殖などは、波浪などによる振動が直接ホタテガイに伝わりほて手が死んでしまうため、今ではほとんど使用されなくなりました。

②地まき式養殖方法
地まき養殖とは、中間育成後の殻長3~5mmの稚貝を漁場へ放流し、自然に成長させて収穫する方法です。
放流漁場は水深30m以浅の沿岸水域における砂泥から砂れきの底質をもつ海底で、流速が10cm/秒以上の潮の流れがあるところが適しています。
ホタテガイはこのような海底に白い方の貝殻をしたにして、黒い方を上に、砂をかぶって生活しています。
サロマ湖やその隣の能取湖のように波の穏やかなところでは水深約2mの海底にも生息します
しかし外海では波浪の影響で岸に打ち上げられる恐れのある水深10m以浅にはほとんど生息しないのです。
ほたてもちゃんと考えて生きてるんですね、賢い。
放流漁場では一般的に4輪採区制によって地まき養殖が行われています。
4輪採区制とは漁場を4分割し、春にその一つの漁場に稚貝を放流し、3年後にその区画の貝を4年貝として採捕します。
次の年の春に2番目の漁場区に放流します。
これを4区画において4年間サイクルで全区画を利用することができます。
4輪採区制の目的は放流前の漁場整備であり、放流しない時期にけた網を使って害敵のヒトデ類を捕獲し駆除することが一つ目の目的です。
もう一つの目的は放流密度を適正に保ち、過密状況での稚貝の成長を低下させるのを防ぐのが目的です。
4輪採区制のもとで放流されたホタテ貝が隣の漁場区に移動することは少なく、1つの漁場区内の年級群はほぼ同じです。
このため1漁場区の全数量が漁獲の対象となり、放流から漁獲までの管理がしやすくなります。
なお、水温などの生育環境条件が不安定なときや、ポリドラ被害が著しく、仮にもう一年間養成を続けても良好な結果が望めない場合は3年で収穫するなどの対策が講じられます。
養殖施設の構造と管理
ホタテガイ養殖において、採苗・中間育成・垂下式養成の各過程で用いる施設は延縄式が一般的です。
海域や漁業者によって施設の縄の長さや垂下水深は異なりますが、施設の構造はほとんど同様となっています。
サロマ湖のように閉鎖的環境のために波が穏やかな養殖場では海面の浮き玉と、海中の沈み玉の感覚は採苗・中間育成・養成のいずれについても2m程度で十分ですが、
波の荒い外海などではこの間隔は採苗施設で5~6m、中間育成施設では20m程度、養成段階では約30mと大きくしなければ、養殖施設の振動がホタテガイに悪影響を与えてしまいます。
なお、サロマ湖のように採苗から養成まで同じ様式の施設で行われる場合でも、1台の施設に異なる年級の貝が垂下されることはありません。
同じ施設に1つの年級の貝がつるされています。
採苗時に新しい施設を設置する場合、施設の固定部位に鋼管杭を用いずにアンカーを用いて、採苗後に施設の撤去が可能な状態にします。
またサロマ湖は冬の期間凍ってしまうため、越冬に関しては中間育成および養成用の施設の数カ所に越冬石と呼ばれる重さ20~25kgのコンクリートブロックをつけて水深6m程度に施設を沈下させます。
施設の振動を防ぎ垂下ほたてを安定させるためには適当な浮力管理を怠らないようにしなければなりません。
特に幹となる綱を一定の水深を維持し、垂下した綱に対して均等になるように浮き玉と沈み玉を付けること、各連におもりを付けてふれを防ぐこと、養殖かごは傾かないように芯の中心を調節することが浮力管理に重要になります。
成長に伴うホタテガイの自重の増加だけではなく、付着物の重量増加が施設に与える影響が大きく、浮力管理が不十分だと、潮流や波浪の影響で施設の破損や流出が起こる可能性があります。
少なくとも幹綱や浮き玉への付着物は定期的に除去しなければなりません。これらの浮力管理とともに、垂下するホタテガイの個数を適正規模に抑えることが養殖施設の管理上重要です。
何でもかんでも増やせばいいってことじゃないですからねぇ

害敵とその駆除
垂下養殖中のホタテガイの害敵生物には
・直接食害するもの**【ヒトデ類】**

・ホタテガイや養殖施設に付着して間接的に成長を阻害する付着生物**【ホヤ・イガイ・コケムシ・フジツボ】**

・貝殻に穿孔したり軟体部に寄生し成長と商品価値を低下させる生物**【ポリドラ・ホタテエラカザリ】**
の3つの種類があります。これらの外敵は日頃の掃除などによって除去します。
養殖工程における機械化
近年のほたて養殖においては、人件費の増加と、人手不足から機械化が急速にすすんでいます。稚貝の洗浄や、選別機、耳づり養殖用の貝殻穴開け機、養殖かご洗浄機、貝殻表面洗浄機、などなど
しかしそれらの機械も高価であり、漁師の経営規模に合わせて導入する必要があります。
収穫と出荷
垂下式養成貝は、地まき養成貝に比べ短期間に出荷サイズになり貝柱の歩留まりも良いため比較的価格が安定しています。
しかし高水温による大量斃死などにより価格が上昇しつつあります。
サロマ湖では高水温によるへい死を防ぐために一部早出し出荷が義務づけられています。
地まき式養成ホタテは通称**”八尺”というけた網を船で走らせる**ことにより漁獲していきます。このけた網は、網口にある長さ50cm前後の一列に並んだ爪でほたてを掘り起こし、それが網に入る仕組みになっています。

こうして収穫されたホタテたちは
発砲スチロールに詰められて全国に販売されたり
ボイルされて凍結保存されたりして、お客様の手元に届きます。
さいごに
これで一通りホタテガイ養殖の説明は終わりましたが、文字で説明するのと実際の現場は結構違う場面が多く、僕も文献を参考に書いているのですが、現場とは違うなと感じていました。
漁師はつらくて大変と、思われがちですが、
誰よりも朝早く起きて水面にきらきらと光る太陽の光を見ながらの作業は最高に気持ちがいいです!
ぜひ皆さんの中で漁師に少しでも興味のある方がいれば連絡お待ちしています!